top of page

研究 Research

当研究室の大目標は、アジア人類史の解明に貢献し、「人間らしさ」とは何かを探究していくことです。

実施している研究は多岐に渡りますが、主なものを紹介します。

ジャワ原人の進化

インドネシアのジャワ島において、110万~10万年前の化石記録があるジャワ原人(Homo erectus)。東京大学の渡辺直経が1970年代に創始し、馬場悠男、松浦秀治らが発展させた現地調査プロジェクトを、海部が引き継いで謎の解明に挑んでいます。これまで、最初期のジャワ原人“メガントロプス”の正体、ジャワ原人における頭骨形態の変化や歯と顎の小型化、ホモ・サピエンスとは異なる進化の道を歩んだ証拠など、数々の業績を上げていますが、国際共同研究の枠組みをさらに拡大して、さらに精力的に調査・研究を続けています。

image.png
image.png

フローレス原人の謎

フローレス原人(Homo floresiensis)は、フローレス島の洞窟の約6万年前の地層から発見された、身長わずか1メートルの小型原人です。海を越えた先の孤島に生存していた不思議な原人の存在は、世界を驚かせ、人類進化研究の最注目テーマの1つとなっています。海部は2007年からその研究に携わり、タイプ標本の頭骨と歯の形態記載を行い、同島で発見された70万年前の、その祖先と思しき化石の研究も行っています。

image.png
image.png

ホモ・サピエンスのアジア拡散

アフリカを起点としたホモ・サピエンスの世界拡散は、過去5万年の間に、急速に生じたことがわかっています。その波の中で、アジアの現代人はどう形成されていったのでしょう? 遺跡を調査し、そこから見つかる祖先たちの人骨を研究すると、思ってもいなかったような事実が浮かび上がってくることが、この研究の醍醐味です。

image.png

実験航海「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」

沖縄の孤立した島々にはじめて人類が現れたのは、今から3万年以上前の旧石器時代。祖先たちは、どのような技術と戦略で、困難な海を越えたのでしょう? この謎を解くため、総勢60名の研究者・探検家・運営スタッフが協力し、クラウドファンディングなどの資金を得て実施したのが、国立科学博物館主催のこのプロジェクトでした。想定される古代舟で台湾から与那国島を目指した実験航海に加え、当時の地理・海流、移住者数、帆の有無など、様々な研究を多分野共同で進め、3万年前の「徹底再現」を目指しました。プロジェクトを主導した海部の取り組みは東京大学でも続けられ、2025年に総まとめの論文を発表しています。

image.png
image.png

日本列島の人類史

ホモ・サピエンスの世界拡散の波が日本列島へ押し寄せたのは、今から約4万年前頃の後期旧石器時代。その後、縄文時代、弥生時代、、、現代へと続く列島人類史が織りなされてきました。この間、この地で、どのような人が、どう生きてきたのかを、人骨の形態解析を通じて解明しようとしています。扱っているテーマは、日本人の形成史、列島の旧石器人の謎、縄文人の地域・遺跡間変異、現代社会で歯列不正が急増したのはなぜか、体格の時代変化、性差の時代変化、などです。

image.png

「人間らしさ」「人間の多様性」「ジェンダー」とは何か?

伝統的に哲学の課題であった「人間らしさ」は、科学的に検討することも可能です。人類進化史の解明を通じて、何が人間らしさで、それはどう進化してきたのかを研究しています。「多様性の大切さ」が問われる現代ですが、そもそも人間はどのように、なぜ多様で、そこにどんな意味があるのでしょう? 過去から現代に至る、骨格の地域・時代的変化などを探り、その本質に迫ろうとしています。また、過去の実態を解き明かしながら、「ジェンダー」の議論にも貢献したいと考えています。

暴力の人類史

当研究室の大学院生がはじめた、新しい研究テーマです。100年前に発見され収蔵庫に保管されていた縄文人の頭骨に、未報告の人為損傷の痕跡を発見しました。そこからテーマを広げて、縄文時代、さらに他の時代における骨への人為損傷の痕跡の探し、一次データを整えることからはじめて、人間の暴力性やその他の可能性について、信頼性の高い議論を展開することをねらっています。

image.png

海部陽介

東京大学総合研究博物館

 

Yousuke KAIFU
The University Museum, The University of Tokyo

〒113-0033

東京都文京区本郷7-3-1
東京大学 総合研究博物館

bottom of page